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イチゴで世界を豊かにします! - 加藤秀明(H11卒・普)

活躍する卒業生 株式会社秀農業 代表取締役 加藤秀明 私は平成11年に滝高校を卒業。その後大学へ進学し卒業後はIT通信業界に就職、中国大連での職務を経験する。ただ2006年のライブドア事件をきっかけに現地プロジェクトがとん挫。失意の末に日本に帰国し、辿りついたのが『モノづくり』という答えだった。目に留まったのが実家の農地。愛知県一宮市でかつて祖父が兼業農家を営んでいた。この農地を生かして農業に挑戦しようと決心した。
 1年間の農業研修を経て、2007年実家で就農に向けた準備を始めた。この時の所持金は100万円。どんな作物を栽培しようかと思い悩んでいたところ、地元の有力農家から「自分が若ければイチゴをやっていた」との助言を受けた。一宮市内にはイチゴ農家が一軒もない。そこで「一軒もないなら自分がやろう」と決意。タイミングよく農家からビニールハウスを譲ってもらえることになり、早速自宅の脇に移設しイチゴの栽培を開始した。
 ただ、ほどなくして経営資金に行き詰まる。ハウスの移設に伴う資材購入などで、当初用意していた手持ち資金はすぐに底をついた。
 研修を受けたパソナに相談しに行ったところ、「働きながら農業をすればいい」とアドバイスをもらう。そこから日の出とともに農作業を開始し、平日には正午すぎに農作業を切り上げてスーツに。13時から18時まではパソナの社員として営業活動に従事し、帰宅後は、頭にヘッドライトをつけ深夜まで農作業を行う。こうした生活を1年間続けた。体力的にハードだったが、「成功するんだ」という強い信念を抱きながら頑張り続けた。
 2008年からは専業農家となり、2009年からは、イチゴの海外輸出を開始。以後、加工品を含めて継続的に輸出を続けている。
 2010年からは、上海でイチゴ栽培を開始することになった。
 当初は病害虫の発生、商習慣の違いから売上はわずか。なお2年目からは収量も増えて売上も上がる。販売ルートは日系パン会社が現地で販売するイチゴパンやイチゴ大福向けに使われており、また駐在日本人向けの生食用販売もされている。
 農業の世界に飛びこんで早くも7年が経過した。改めて大切なのは『モノづくり』だと気付かされた。それは高品質の作物を安定的に生産できる体制づくりであり、農業の場合、その基礎となるのが「農地」である。しかし適した農地が集まらない。中国上海でのイチゴ生産を開始したのも、日本での農地拡大の限界を感じたからだ。ただ、海外でも文化習慣の違いから思い通りに拡大は進んでいない。
 農産業の付加価値の向上には、イチゴ狩りなどサービス業の展開もひとつの手段だ。実際、2012年にイチゴ狩り園をオープンさせたがこうした取り組みを行うためにも生産量の確保が必須となる。農業を生業にしていない兼業農家が農地転用期待がありそれが耕作放棄地であっても土地を手放さないため、私たちのような専業農家の事業拡大を阻む状況が生まれている。硬直的な法律や行政や農協組織のため表面上は農業の担い手を求めながら自らの手でその門を閉ざしているのも現状です。それでもその壁を乗り越えようと毎日がんばって農業しています。

※株式会社秀農業 代表取締役