第17回土曜講座記念講演会 前刀禎明氏講演会「未来を創るセルフ・イノベーション」
平成31年4月20日(土)、17回目となる土曜講座記念講演会を、江南市民文化会館大ホールにて実施しました。本記念講演会は毎年、同窓会のご援助のもと運営されております。
今年度は講師として本校卒業生(昭和52年普通科卒)で株式会社リアルディア代表取締役社長前刀禎明(さきとうよしあき)氏をお迎えし、「未来を創るセルフ・イノベーション」を演題としてご講演いただきました。生徒からの質問も多数あり、実りある講演会となりました。
◆前刀禎明先生 記念講演録
大切なのは、「自分を極める」こと
アインシュタインは言った、「成功者ではなく、価値ある人間になれ」。ウォルト・ディズニーは言った、「私たちは新しいことにチャレンジしているだけだ、なぜならば私たちは好奇心旺盛だからである」。SONY 創業者の井深大氏は言った、「他の人が既にやってしまったことはやらない」。私が今日お伝えしたい最も大切なこと、それは「新しいことにチャレンジし、自分を信じて情熱的に追求すること」である。
(1)Create yourself(自分を創る)
私はかつてApple 社でiPodの宣伝担当をしていた。リモコン付属のMD ウォークマンが主流だった当時の日本市場において、私はiPod をファッションアイテムとして売り出すことを提案した。Function(機能)を武器にしたMD ウォークマンに対して、iPod を「ファッションと連携させたカラーアイテム」としてEmotional(感性)に紹介しようとしたのである。結果、iPod 選びをきっかけに「自分はどの色を選んでどのように楽しもうか」と心躍らせる、音楽の新しい楽しみ方そのものを創造することができた。
ここで大切なのは、他との差別化そのものではなく、「自分が良いと信じるものを追求し、創る」という意欲である。「自分が気に入らなかったものは世の中に出さない」。自己の成長は、「欲求(何を創りたいか)」、「努力」、「喜び(実現できた達成感)」の好循環によって成し遂げられる。未来予測ではなく、未来創造が成功の鍵なのである。
(2)Free yourself(自分を解放する)
論理的思考力に優れていることだけではなく、柔らかな思考の持ち主であることも重要だ。まっすぐに伸びた電柱が、見る角度を変えれば三角形を成して見えることに気付いたことがあるだろうか? 空に浮かぶ雲が、何に見えるか考えたことがあるだろうか? 多角的な視点は、今までになかったアイディアや解決策を教えてくれる。
「Creative intelligence(創造的知性)」とは、(1)Observing(観察力)、(2) Questioning(質問力)、(3) Experimenting(実験力)、(4) Net working(相談力)、(5) Associating(関連づける力)で出来ていると考える。あるいは、「Playful learning」のサイクルでも説明ができる。まずは「PLAY(どうなっているんだろう?やってみよう。)」、そして「CREATE(なるほど、そうなるのか。自分でも作ってみよう。)」、更に「SHARE(こんなやりかたもあるよ!そんなやりかたもあるのか!)」。自分の能力を高めるためには、自分を解放し、分かち合うことが大切だ。失敗や他者のアイディアを様々に結びつけることで、型にはまらない自分が実現されていくのである。
(3)Enjoy yourself(自分を楽しむ)
プールに飛びこんでごらん、3、2、1・・・とカウントダウンされた双子の兄弟。1人は0を待たずに飛び込み、1人は飛び込めないままだった。このように、見た目は似通っていても行動の起こし方は人それぞれである。君たちは「考えているだけで行動しない、現状に甘んじるか」それとも「自分の可能性を信じて挑戦するか」。私は「挑戦した方が楽しい!」ということを伝えたい。
SONY のラジオCMにこんな面白いものがある。「目の見えない子供たちは、色を音で表すという。白ってどんな音?(蒸気機関車の汽笛の音)じゃあ、金色は?(カンカンと、金属の鍋を叩く音)それじゃあ、お月さんはどんな色をしてる?(「どろどろの油に石を投げこむ音だ。」)鏡はどんな色をしてるかな?(「絹糸の切れる音だ。」)もし、人生がバラ色だとしたら、それは目の見えない子どもたちにとってどんな音で表されるのか。」
身の回りの事象を、五感を統合してキャッチし、頭の中で結びつけて考えてみよう。ゼロから考えるのが大変なときも、今あるものをヒントに、何が必要かを考えてみよう。そうすることで、思考は発散と収束を繰り返しながら、発見を伴う豊かなものになっていき、創造的な自分に近付くことができる。
自分が喜ぶ生き方を追求しよう
今起きていることは、すべて自分の責任だと考えてみよう。つまり、環境や他人のせいにしないことである。その方が自分を信じて情熱的に挑戦できる。そして、自分がやりたいことを信じ、自分の心が喜ぶ生き方を追求すること。
明日の自分には無限の可能性がある。これから先を決めるのは自分で、他の誰でもない、「You」、君である。