愛知医科大学病院 高度救命救急センター/ 救命救急科
青木瑠里(平成7年・普通科卒業)
愛知県でドクターヘリコプター(以下ドクターヘリ)事業が開始されたのは2002年1月。(ドクターヘリは、愛知県が愛知医科大学病院に委託した県の事業です。全国的には2001年に運用開始。愛知県は全国4番目に導入されました。)私が医師免許を手にしたのは2002年4月。ドクターヘリに育てられて「医師」という職業を考え続けたといっても過言ではないと感じます。
滝学園を卒業後、医学部に入学。医師免許証を手にした直後、私は、当時最先端の救急医療を学ぶことができる、またドクターヘリも運用する愛知医科大学病院の救命救急科に興味を抱き入局しました。そして数年間の激務(??)・努力・指導を受け、2007年から救急医としてドクターヘリ担当の医師「フライトドクター」の仲間入りをし、現在も継続しています。(あら・・・。もう10 年航空医療に従事しているのですね。)
ドクターヘリとは何なのでしょうか?「空飛ぶ救命救急センター」「空飛ぶ集中治療室」など、多くの表現で報道されております。が、私に表現を!と求められるとすれば「救急医のデリバリー」ではないかと考えます。救急現場に救急医療を投入し、そこが医療現場になる!
それが、ドクターヘリの一番の利点となります。命の緊急事態に5分・10分経過するにつれ、死亡率50%、75%!という恐ろしいデータがあります。1分でも早く患者の元に赴き、診断・治療を開始することこそが、ドクターヘリの重要ポイントになります。
ドクターヘリの担当業務の日は、つなぎを身にまとい、いつでも出動できるように待機します。通常出動範囲は愛知県内全域。ヘリ要請3-4 分で、基地病院を離陸・出発。要請時の情報は「新城方面、転落外傷」や「豊田方面、意識障害」という極限られた情報のみで出動します。現場到着までにもう少しの情報は得られますが、少なく不確実な情報の中で活動することがほとんどになります。
現場では医師一人・看護師一人で活動するため、手技(しゅぎ)はできて当たり前、最も重要な能力は判断力・決断力です。その判断こそが救急医に求められている責務なのです。早期に医療介入したからこそ助かる命が1つでもあると、そこに自身のやりがいと心の奥底での達成感がこみ上げます。その気持ちが患者さんのためになるように日々業務に携わっています。
ここ最近では、滝学園の土曜講座、愛知医科大学のオープンキャンパスなどで、滝学園の在校生・卒業生と接することが多くなり、その心底の達成感を伝えていく機会を頂いています。最近のきめ文句は、「熱くて何が悪い!」です。ちょっと引かれることもありますが、それこそ「熱くて何が悪い!」です。
滝学園の学生時代、「医学部入学」を目標に日々すごし、多くの先生方に支えていただき何とか医学部入学を果たしました。滝学園時代に、多くの先生方の支えや叱咤激励があったからこそ、今日医師として日々を過ごしていくことができているのだと心から感謝いたします。今後は、私が学ばせていただいた事・経験させていただいた多くの事を滝学園在校生や卒業生など多くの方に、熱く伝え続ける努力を続けていきたいと考える所存です。
謝辞:江南市内での救急事案発生時、滝学園の第一グランドをドクターヘリの着陸場所に提供いただきましたことを、この場をお借りし感謝申し上げます。
写真1:ドクターヘリは必ず「操縦士・整備士・医師・看護師・(地上にコミュニケーションスペシャリスト)」がチームで活動します。とある日のドクターヘリチームです。左から整備士・看護師・医師(筆者)・操縦士です。
写真2:ゴルフ場で倒れた患者さん!処置後にヘリコプターに乗り込む!ヘリの後方から患者収容します。