尾張中北消防指令センター 第1指令課課長補佐:丹羽広域事務組合消防本部 所属
大森麻里子(平成4年・普通科卒業)
「はい、こちら119番、消防です。火事ですか、救急ですか?」
私たち指令課員は、119番通報を受け、通報内容から火災、救急、救助など災害種別を判断して最適な消防部隊を編成し、出動指令を出す役割を担っています。状況によっては初期消火の指示、心臓マッサージや応急処置の指導も電話口を通じて実施します。その他にも情報収集や災害現場活動の支援、関係機関への連絡など現場活動を支える業務を行っています。ホースを持って走ったり、オレンジの服を着てロープを昇り降りしたり、日々訓練をいっぱいして、というみなさんのイメージとはちょっと違う仕事ですが、れっきとした消防官です。
消防官になったのは、偶然です。四大卒の女子は採用しません、という企業が多く、たまたま受けた丹羽消防に入職、一般職を経て第1号の女性消防官になりました。私自身、消防は男性の職場だと思っていましたが、いざ入ってみると男女の区別ではなく人として必要な仕事だと感じたことがきっかけです。体力勝負ではない業務を主に担ってきましたが、消防にも女性の視点を、という国の施策などに背を押され、女性としてやはり初めて24時間勤務の現場へ異動しました。周りに助けられながら間もなく3年になります。
正直、消防官になるなんて思っていませんでした。けれども、今は、この偶然を幸運と感じます。
私たちを必要とする状況は、残念ながら、あまり幸せな場面ではありません。ですが、要請に応えることで、やりがいを直接感じることができます。大きな力ではありませんが、社会に貢献する、確実に必要な力なのだ、と。また、様々な業務の中で女性消防官の認知度も上がり、職場環境の整備等が進み、さらには後輩女性も増えるなど消防を取り巻く社会の変化もやりがいの一つと感じています。
この4月から、指令センターを離れ、丹羽消防本部での勤務に戻ることになりました。(消防課 課長補佐)119番を通じて、ではなくなりますが、違う形で住民のみなさんと関わり合えるよう取り組んでいきたいと思っています。
この記事を読んだ同窓のみなさん、もしものために、救命講習等でAEDの取り扱いや応急手当、通報要領を知っておくことをお勧めします。その際は、ぜひ、あなただけではなく、ご夫婦、ご家族等複数の方で受講しましょう。あなたを助ける人も必要ですから。
同窓会報「瀧」40号(2018年7月発行)掲載